ファシリテーション力は鍛えられる

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ファシリテーション力は口がうまいこととは違うと思います。ファシリテーション力を上げるということを考えてみましょう。

 

コンサルタントという仕事を約3年間やってみて感じるのは、この仕事にはファシリテーション力が必要だということです。

お客様であるクライアントさんを説得することが仕事の一つですから、口がうまいことに越したことはありませんが、コンサルタントの仕事では、むしろ説得ではなくて、クライアントさん自身が自分たちが考えていって納得する環境を作ることがより大切だと思うのです。

なので、説得ではなく、納得が大切で、逆に口のうまい人は説得に重きが置かれる危険があって、コンサルの世界では、その場では説得されたように思っても、後になって何だか騙されたような感覚にさせてしまうということが起こりえるのだと思います。

ということで、コンサルタントとして必要なスキルは、ディベート力ではなく、ファシリテーション力だというのが私の考えです。

では、ファシリテーション力とはそもそもどんな力なのでしょうか。

すごく簡単に説明すると、テレビのワイドショーの司会にようなものを考えていただければいいかもしれません。

”議事進行力”と言ってもいいかもしれませんが、もう少し具体的な能力を思いつく限り挙げてみると以下のようになります。

  1. 課題解決の全体像をストーリーとして把握する能力
  2. 参加者の思考の本質を短時間で理解する能力
  3. 論点のズレをロジカルに修正し議論を嚙合わせる能力
  4. 難しい議論の中でも、解決へ向けた前進と学びを生み出す能力

1は、正しいかどうかではなく、自分なりの課題解決に向けたストーリーを初期段階で作る能力があるかどうかです。議論を進めていく手がかりであり、ある程度、議論の流れを予想して効率的な議論を促すということが、良い議論を生み出すためには必要なのだと思います。

2は、議論をコントロールするためには必須で、全く違う意見を持って集まったメンバーから、Win-Winの結論を導いていくために、できるだけ短い時間で意見の違い、方向性のズレを認識して、方向性を一致させるために議論の内容を修正していきます。

3は、感情論に走りすぎないよう、つねにロジカルなポジションを維持し、感情的な話や脱線を防ぐ能力です。

4は、どんなに発散気味だったり、複雑な話で出口が見えない状態になっても、小さくても前進を作り出し、学びを引き出すことで、確実に課題解決に近づけるということです。

細かく言うと、まだ求められる能力はあるかもしれませんが、上記の4項目やその他を考えて、ファシリテーションに必要な共通の能力は、ロジカル思考で本質を追求する能力だと言えると思っています。

他人の話、与えられた情報を論理的に分析して、与えられた情報を鵜呑みにせず、なぜなぜ思考で疑問を持ち続けて、常に本質を捉えようとする資質とその能力が私はファシリテーション能力だと考えています。

 

サラリーマンを長くやってると、”気を使う”ことは上手になるものの、なぜなぜと疑問を追求することが面倒くさくなってくるかもしれません。

 

質問の上手な人というのがいます。傍からみてると、良い質問をする人は優秀そうに見えませんか?

逆に、的を外した質問をする人がいると、議論の腰が折れたりしてがっかりすることもありますよね。

参考記事:「質問力は武器になる」

時間をかけてたくさん議論しているのに結果が出ない議論に共通するのは、お互いの意見をナマ理解していることだと思います。

 

ファシリテーション力の鍛え方

ファシリテーション力を高めるためにやるべきことは二つあると言えます。

そのうちの一つは、他人のことや自分の得意分野以外のことを理解する力だと思います。

他人の本質を理解するためには、他人の考え方や、その考え方に至る体験などを理解できなければなりません。

また、自分の得意分野以外を知るためには、自分の得意分野での知識を一般化できなければなりません。

技術コンサルタントとしての知識の一般化は、自分が開発したことのない製品や技術の話を、本筋だけを聞き分けて一般化して理解できる能力だと思います。

経験のない技術の内容や聞いたことのない言葉を理解するということではなく、その技術をどうしようとしているのか、それを実用化するまたは製品化するのに、どんな難所や課題があるのか、それに対して、今やっていることが正しいのか、あるいは疑問があるのか、とういうことを指摘することができる能力だということです。

簡単に言うと、ジェネラリスト的な能力と言えるかもしれませんが、自分の得意分野でやってきたプロセスとか、重要な課題とかが、別の世界でも共通であったり、同様の考えで捉えることが出来ることを理解していることと言えます。

 

私自身は、このジェネラリスト的能力を5回の転職で、複数の違う製品、技術を経験することで得ましたが、5回も転職しなくても、この能力を獲得できます。

 

ファシリテーション力を高める二つ目は、論理思考力を強化することです。

論理思考力は、正しく考える力なのですが、私はこれを「国語力」と捉えています。

福嶋隆史さんが、国語力は言い換える力、比べる力と辿る力だとおっしゃっていますが、その中で特に重要なのは、言い換える力(抽象化力)と辿る力(論理思考となぜなぜ力)だと思っています。

そして、これら二つの力は、鍛えることが出来ます。

その方法は、

  • TOC(制約の理論)の思考プロセスを学ぶ
  • リーン開発の因果関係マップを学ぶ

ことで、人にもよりますが、半年程度で普段の思考プロセスが変わり、ジェネラリストとしての能力も高まり、ファシリテーション力を上げるだけでなく、本質思考やなぜなぜ思考が身について、会社の中でどんな重職にも耐えうる能力を身に付けることができます。

 

TOC(制約の理論)とは ~製品開発組織に適用する方法
TOC(制約の理論)とは何か?エリヤフ・ゴールドラット博士の開発したTOCの教えを振り返り、製品開発コンサルタントから見たTOCの本質や意義を見直しながら、製品開発組織の改革にTOCを適用することを考えて、開発革新戦略とTOCとを結びつけた改革の取り組みについて解説します。

 

TOCの思考プロセスの入門編のセミナーを下記で提供しています。

 

https://futureship.biz/lp/logicallp/

 

リーン製品開発の因果関係マップは、オープンセミナーはまだ企画中ですが、下記、弊社HPよりご相談いただければ対応可能です。

 

フューチャーシップの製品開発革新支援
製品開発組織における開発日程短縮、手戻り防止、若手エンジニア育成などを目指した開発組織改革、開発プロセス改革をリーン製品開発手法、ジョブ理論による潜在ニーズ発掘、制約の理論を活用して強力に実践する製品開発革新支援サービスを提供します。

 

 

プロフィール
賀門 康至

生まれ : 1957年7月
出身/住居 : 東京都出身 横浜市在住
大学の専攻 : 工学部電気工学科
家族 : 妻と娘1人
趣味 : ゴルフ、ホームページ作成
現職 : 製品開発コンサルタント

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